2015年7月26日日曜日
犬山から鵜沼を眺める
加治将一: あやつられた龍馬-明治維新と英国諜報部,そしてフリーメーソン,2006,祥伝社
を読んだ.今は,
犬塚 孝明: 海国日本の明治維新 異国船をめぐる一〇〇年の攻防,2011,新人物往来社
を読んでいる.世界情勢の変転激動下での,近世日本の世界への関わりの重さに改めて気づく.
フジテレビの「彼氏いらない女子」特集に批判集まる
[http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1507/24/news149.html]
「断ってるのに無理やり放送された」との声も
政治,経済,文化のあらゆる話題において,日本のTV局と新聞は,その視点が世界の中でガラパゴス化しているという表現がぴったり.マスコミ関係者の‘傲慢無礼’と‘無知と正義独占’は酷くなるばかりだ-昔 陸軍,今 マスコミ.考えてみれば,日本のTV局と新聞社は放送法等によって国際間の競争から独占企業的に保護されている-結果的に,いわゆる,我田引水の国有企業(かっての国鉄)的に,NEWS 報道を歪曲また壟断している.
「黒船来航」でテレビ局の戦国時代は加速する (『Japan In-depth』 安倍宏行特別編集長)
[http://ironna.jp/article/1678]
もちろん,MEDIA は新聞も Radio も TV もインターネットの世界にも対応し, 公共放送である NHK も,国民が受信を強制されない機関として独立採算下に活動するべきであると思う.
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紙上の虫
2015年2月10日火曜日
トンネルから出るときには,特に注意!
S. Moalem(with J. P.)
矢野真千子訳:迷惑な進化,2007,NHK出版
を読んだ.
光くしゃみ反応(Photic Sneeze Reflex)-まぶしさを感じた瞬間にくしゃみするという不随意反応-が優性遺伝であると書いてある.
私も,しばしば車を運転中に眩しさとともにくしゃみがでそうになり,街中や高速道路で危機を体感する!
‘E. Morgan 望月弘子訳:女の由来-もう一つの人類進化論,どうぶつ社’ にもふれている.
矢野真千子訳:迷惑な進化,2007,NHK出版
を読んだ.
光くしゃみ反応(Photic Sneeze Reflex)-まぶしさを感じた瞬間にくしゃみするという不随意反応-が優性遺伝であると書いてある.
私も,しばしば車を運転中に眩しさとともにくしゃみがでそうになり,街中や高速道路で危機を体感する!
‘E. Morgan 望月弘子訳:女の由来-もう一つの人類進化論,どうぶつ社’ にもふれている.
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紙上の虫
2015年2月5日木曜日
‘加藤 陽子:それでも、日本人は「戦争」を選んだ,2009,朝日出版社’ を読んだ.
1929年の世界恐慌の以後の大不況と社会不安の収束を求める青年将校らによる‘昭和維新’への渇望については,青年将校らの渇望への対応政策がよくわかっていなかったが,この本を読んで納得する.
政友会の選挙スローガンには農民救済や労働政策の項目がなかった.一方陸軍の統制派による計画書「政治的非常事態勃発に処する対策要綱」に見られる農民救済策には
・義務教育費の国庫負担
・肥糧販売の国営
・農産物価格の維持
・耕作権などの借地権保護
が挙げられ,労働問題については
・労働組合法の制定
・労働争議調停機関の設置
が掲げられていたとある.
‘早坂暁 :「戦艦大和」日記 ,勉誠出版’ で活躍する日露戦争時の日本海軍水雷艇長 水野廣徳 が1929年に「無産階級と国防問題」という文を書いているそうだ.水野廣徳について,
・物資の貧弱と技術の低劣
・国際的通商関係の必要性
の理由から大東亜戦争に否定的で,
・日本領土の孤立性と安全性
・国際的非理不法を避けること
に基づいて国家の安全を考えていたとその明瞭な主張が紹介されている.
1929年の世界恐慌の以後の大不況と社会不安の収束を求める青年将校らによる‘昭和維新’への渇望については,青年将校らの渇望への対応政策がよくわかっていなかったが,この本を読んで納得する.
政友会の選挙スローガンには農民救済や労働政策の項目がなかった.一方陸軍の統制派による計画書「政治的非常事態勃発に処する対策要綱」に見られる農民救済策には
・義務教育費の国庫負担
・肥糧販売の国営
・農産物価格の維持
・耕作権などの借地権保護
が挙げられ,労働問題については
・労働組合法の制定
・労働争議調停機関の設置
が掲げられていたとある.
‘早坂暁 :「戦艦大和」日記 ,勉誠出版’ で活躍する日露戦争時の日本海軍水雷艇長 水野廣徳 が1929年に「無産階級と国防問題」という文を書いているそうだ.水野廣徳について,
・物資の貧弱と技術の低劣
・国際的通商関係の必要性
の理由から大東亜戦争に否定的で,
・日本領土の孤立性と安全性
・国際的非理不法を避けること
に基づいて国家の安全を考えていたとその明瞭な主張が紹介されている.
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紙上の虫
2015年2月1日日曜日
ジョン・ダワー(John W. Dower, 1938年生)の本
「三浦・高杉訳:敗北を抱きしめて,2001,岩波書店」 については http://ironna.jp/article/873 『「敗北を抱きしめて」などいられない』などの意見もある. 読んでみた.
序文における著者の‘日本’ 認識の基調は‘何故,他のアジアの国のようではないんだ,ありえん’ という感情のように思える.
著者は,1930年代以前の西葡蘭英仏の植民地主義‐帝国主義を問うことがない.
第一部 「無法国家日本は,…」における‘無法’ の罵りの粗野といかがわしさが著者の欺瞞の根底にあると感じる; 誰が誰に対して無法なのか?
‘日本’ という未知の国を見極めようとしているが,眼前に吹き荒れる風に嬲られて,自ら見たものでもない人間性を想像力によって受け入れているところがあると思う.日本兵による残酷と虐殺も多々あったであろうが,米兵による虐殺から逃れるための日本人による自決もあれば,米兵が日本軍兵士の屍から頭蓋骨を抽出し飾り物を制作したというような行為については眼を眩まさせている.
『ペリー提督は,ビンを開けて一匹の妖精を出してしまった,そして今やその妖精は血にまみれた怪物になった-アメリカ人はそう表現した.』と書いたその所から,著者の顛倒妄想する日本理解はそう跳びだしてはいない.
著者は「民衆意識」という曖昧な枠組み(Social Realism?) を衒って,諸国民の「民衆意識」の狂騒および日本における乱舞顛倒を想像力に助けられて記録することになったようだ.
第二部 戦後の指導の混乱・腐敗・無能といった要因…の「無能といった要因」はどんなことを指しているのかまた如何なる有能を求めているのかが不明瞭である.
『もともと達成不可能な戦争目的を追求していたからである,….』 戦争の相手であった帝国政府の行動理由については(暗黙のうちに無検討で)否定し,参戦する米国政府の行動経過については無批判である. そうではあるが,日本占領期間の支配に関った米人の行動については個人的欠陥(高慢や偽善)を見,日本人については腐敗や無能に注目している.
日本社会に現れる dynamics(社会の変遷/発展の力学)を感じてはいる.第二部と第三部は,まあ,著者には奇妙な文化についての報告で,著者の人となりを知るための資料であろう.
第四部 『裕仁はしたたかで適応力のある人物であり,天の助け-もっと具体的にいえばマッカーサーの助けに-によって生き残り,満ち足りた人生を送った.』
著者によるこの断言は,著者が天皇裕仁と身近に親しんだことはないと思われるから,不可解な偏見または三文小説を感じさせる.
著者のフェラーズ准将への言及は,天皇の役割の位置づけをめぐって,曖昧ながらも敵対的評価であるように読める.‘天皇をどう評価していれば GHQ はよりよい仕事のをなし得た’と著者は考えるのだろうか?
著者は大日本帝国憲法が帝国議会を通して立憲的に運用され,また陸海軍の統帥権のために歪められたことを全く論じることがない-おそらく,大日本帝国の議会政治を全く無意味な欺瞞と看做しているからだと想像される.さらには,‘天皇をボスとする軍国主義者のギャング達’と見る眼にはフェラーズ准将(と戦略作戦局(OSS))を揶揄する三文小説作家を感じる.
『天皇は神格問題をごまかした声明を出しておけば外国向けには都合がいいと考えるようになった.』というような政治的根拠の疑わしい解釈にいたるのも,著者の‘日本人理解=猿理解’というような知性の齎すものであろう. 確かに,著者は多くを観察したが,案の定というべきか妄想に酔いつぶれて自らの身を互いに結び絡めて解くことが出来ない八岐大蛇/ゴルディアスの結び目(Gordian Knot)のようになった.
率直に言って,この本は,政治小説 ‘Dower's Travels’ であると思う.
もしこの本から,想像による言い現わしを取り除いたら,どう見えるのだろうか?
「三浦・高杉訳:敗北を抱きしめて,2001,岩波書店」 については http://ironna.jp/article/873 『「敗北を抱きしめて」などいられない』などの意見もある. 読んでみた.
序文における著者の‘日本’ 認識の基調は‘何故,他のアジアの国のようではないんだ,ありえん’ という感情のように思える.
著者は,1930年代以前の西葡蘭英仏の植民地主義‐帝国主義を問うことがない.
第一部 「無法国家日本は,…」における‘無法’ の罵りの粗野といかがわしさが著者の欺瞞の根底にあると感じる; 誰が誰に対して無法なのか?
‘日本’ という未知の国を見極めようとしているが,眼前に吹き荒れる風に嬲られて,自ら見たものでもない人間性を想像力によって受け入れているところがあると思う.日本兵による残酷と虐殺も多々あったであろうが,米兵による虐殺から逃れるための日本人による自決もあれば,米兵が日本軍兵士の屍から頭蓋骨を抽出し飾り物を制作したというような行為については眼を眩まさせている.
『ペリー提督は,ビンを開けて一匹の妖精を出してしまった,そして今やその妖精は血にまみれた怪物になった-アメリカ人はそう表現した.』と書いたその所から,著者の顛倒妄想する日本理解はそう跳びだしてはいない.
著者は「民衆意識」という曖昧な枠組み(Social Realism?) を衒って,諸国民の「民衆意識」の狂騒および日本における乱舞顛倒を想像力に助けられて記録することになったようだ.
第二部 戦後の指導の混乱・腐敗・無能といった要因…の「無能といった要因」はどんなことを指しているのかまた如何なる有能を求めているのかが不明瞭である.
『もともと達成不可能な戦争目的を追求していたからである,….』 戦争の相手であった帝国政府の行動理由については(暗黙のうちに無検討で)否定し,参戦する米国政府の行動経過については無批判である. そうではあるが,日本占領期間の支配に関った米人の行動については個人的欠陥(高慢や偽善)を見,日本人については腐敗や無能に注目している.
日本社会に現れる dynamics(社会の変遷/発展の力学)を感じてはいる.第二部と第三部は,まあ,著者には奇妙な文化についての報告で,著者の人となりを知るための資料であろう.
第四部 『裕仁はしたたかで適応力のある人物であり,天の助け-もっと具体的にいえばマッカーサーの助けに-によって生き残り,満ち足りた人生を送った.』
著者によるこの断言は,著者が天皇裕仁と身近に親しんだことはないと思われるから,不可解な偏見または三文小説を感じさせる.
著者のフェラーズ准将への言及は,天皇の役割の位置づけをめぐって,曖昧ながらも敵対的評価であるように読める.‘天皇をどう評価していれば GHQ はよりよい仕事のをなし得た’と著者は考えるのだろうか?
著者は大日本帝国憲法が帝国議会を通して立憲的に運用され,また陸海軍の統帥権のために歪められたことを全く論じることがない-おそらく,大日本帝国の議会政治を全く無意味な欺瞞と看做しているからだと想像される.さらには,‘天皇をボスとする軍国主義者のギャング達’と見る眼にはフェラーズ准将(と戦略作戦局(OSS))を揶揄する三文小説作家を感じる.
『天皇は神格問題をごまかした声明を出しておけば外国向けには都合がいいと考えるようになった.』というような政治的根拠の疑わしい解釈にいたるのも,著者の‘日本人理解=猿理解’というような知性の齎すものであろう. 確かに,著者は多くを観察したが,案の定というべきか妄想に酔いつぶれて自らの身を互いに結び絡めて解くことが出来ない八岐大蛇/ゴルディアスの結び目(Gordian Knot)のようになった.
率直に言って,この本は,政治小説 ‘Dower's Travels’ であると思う.
もしこの本から,想像による言い現わしを取り除いたら,どう見えるのだろうか?
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紙上の虫
2015年1月23日金曜日
薄氷を透して
立花隆:天皇と東大 大日本帝国の生と死(上/下),
2005,文藝春秋社
を読む.
東大論を(書こうと)目指して,‘近代日本史における東大の重み’を書きあげている. 明治維新後の日本の政治における帝国憲法の効能について考えさせる多くの事例を提供している. 東大に焦点を合わせて書かれた‘東大と帝国政府と帝国陸軍の(大日本帝国における)三国史’と読めば,無類に興味深く面白い英雄譚.
そうではあるが,
1. 1940年以降の帝国議会の翼賛議会化への文化的理由と政治責任の指摘が貧弱である
[河合栄治郎の‘敗戦予想とその戦後見通し’が共有(少なくとも東大の法経学部で)されて
いないのは何故か?]
2. 大日本帝国憲法における立憲君主制が皇道思想に敗北する理由の解明が欠けている
[立憲君主制を選択した理由は理解/表明されていたのだろうか?]
3. 敗戦後に,立憲君主制を担保する日本国憲法を提案できなかった理由が欠けている
4. 現在の皇室典範に天皇退位と譲位の規定が置かれなかった理由の詳細が欠けている.
[天皇退位を尊重した木戸,高木や南原の発言を退けた背景は東大閥ではないのか?]
帝国憲法に担わせた政治指針(近代化と富国強兵)を実現するべく東大という役人養成組織が成立したと見なせば,東大論の提示に至らないのは,東大が‘帝国憲法に基づいて立憲政治を支えることに失敗した’ことを明瞭にしないからではないのか.
2005,文藝春秋社
を読む.
東大論を(書こうと)目指して,‘近代日本史における東大の重み’を書きあげている. 明治維新後の日本の政治における帝国憲法の効能について考えさせる多くの事例を提供している. 東大に焦点を合わせて書かれた‘東大と帝国政府と帝国陸軍の(大日本帝国における)三国史’と読めば,無類に興味深く面白い英雄譚.
そうではあるが,
1. 1940年以降の帝国議会の翼賛議会化への文化的理由と政治責任の指摘が貧弱である
[河合栄治郎の‘敗戦予想とその戦後見通し’が共有(少なくとも東大の法経学部で)されて
いないのは何故か?]
2. 大日本帝国憲法における立憲君主制が皇道思想に敗北する理由の解明が欠けている
[立憲君主制を選択した理由は理解/表明されていたのだろうか?]
3. 敗戦後に,立憲君主制を担保する日本国憲法を提案できなかった理由が欠けている
4. 現在の皇室典範に天皇退位と譲位の規定が置かれなかった理由の詳細が欠けている.
[天皇退位を尊重した木戸,高木や南原の発言を退けた背景は東大閥ではないのか?]
帝国憲法に担わせた政治指針(近代化と富国強兵)を実現するべく東大という役人養成組織が成立したと見なせば,東大論の提示に至らないのは,東大が‘帝国憲法に基づいて立憲政治を支えることに失敗した’ことを明瞭にしないからではないのか.
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紙上の虫
2015年1月6日火曜日
薄氷張る池で
1946年 Douglas MacArthur は昭和天皇の誕生日(4月29日)に『A級戦犯』を起訴して,1948年当時の皇太子殿下(今上天皇陛下)の誕生日(12月23日)に『A級戦犯』の死刑を執行させた.
世界中での多くの理性ある人々による‘(東京)極東国際軍事裁判は MacArthur による復讐以外のものではない’という認知は,MacArthur の誇りを傷つけた.
不名誉をそそぐ道が,事実の認識であったのだろう: ‘Their purpose, therefore in going to war was largely dictated by security.’ (戦争に突入した彼らの目的は、主に安全保障上の観点からのものであった。)さらには,日本を擁護して,民主主義の成熟度について「…日本は12歳の少年…」 (Measured by the standards of modern civilization, they would be like a boy of twelve as compared with our development of 45 years.)と米上院公聴会で,日本占領の最高司令官の行動と立場を弁護し,経験を証言してもいる.
[ http://www.nybooks.com/articles/archives/1999/oct/21/macarthurs-children/ ]
昭和天皇は,訪米時,マッカーサー記念館を訪れずまたマッカーサーの墓参もしなかった.
日差しさす薄氷の下でメダカが泳いだ. ‘野坂昭如:「終戦日記を読む」,2005,
NHK出版’ を読了.
山田風太郎は昭和20年9月1日の日記の中で,新聞論調の変化にふれて,「今まで,神がかり的信念を抱いていたものほど,…,自分を世界の罪人と思い,平和とか文化とかを盲信しはじめるであろう.」と書いている. 野坂昭如も「国民全体が徹底的に反省し懺悔しなければならぬと思う」という‘一億総懺悔’に暗然たる気持ちを感じている. このような感覚に思い及ぶとき,日本のいわゆる文化人だけではなく,自然科学や技術関係の知識人においても,世界の文化経済状況の情報獲得の手立ての少なさの所使然という思いが湧く.
言論の自由は GHQ 及び連合国批判にならないよう制限されていた.
GHQ による Press Code for Japan =
SCAPIN-33 「日本に与うる新聞遵則」
で指定されている検閲項目から,
極東国際軍事裁判批判
GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判
連合国の戦前の政策に対する批判
戦争犯罪人の正当化および擁護
占領軍軍隊に対する批判
解禁されていない報道の公表
….
日本の新聞や放送の大方は, GHQ に言われるままに,今に至っているようだ.
世界中での多くの理性ある人々による‘(東京)極東国際軍事裁判は MacArthur による復讐以外のものではない’という認知は,MacArthur の誇りを傷つけた.
不名誉をそそぐ道が,事実の認識であったのだろう: ‘Their purpose, therefore in going to war was largely dictated by security.’ (戦争に突入した彼らの目的は、主に安全保障上の観点からのものであった。)さらには,日本を擁護して,民主主義の成熟度について「…日本は12歳の少年…」 (Measured by the standards of modern civilization, they would be like a boy of twelve as compared with our development of 45 years.)と米上院公聴会で,日本占領の最高司令官の行動と立場を弁護し,経験を証言してもいる.
[ http://www.nybooks.com/articles/archives/1999/oct/21/macarthurs-children/ ]
昭和天皇は,訪米時,マッカーサー記念館を訪れずまたマッカーサーの墓参もしなかった.
日差しさす薄氷の下でメダカが泳いだ. ‘野坂昭如:「終戦日記を読む」,2005,
NHK出版’ を読了.
山田風太郎は昭和20年9月1日の日記の中で,新聞論調の変化にふれて,「今まで,神がかり的信念を抱いていたものほど,…,自分を世界の罪人と思い,平和とか文化とかを盲信しはじめるであろう.」と書いている. 野坂昭如も「国民全体が徹底的に反省し懺悔しなければならぬと思う」という‘一億総懺悔’に暗然たる気持ちを感じている. このような感覚に思い及ぶとき,日本のいわゆる文化人だけではなく,自然科学や技術関係の知識人においても,世界の文化経済状況の情報獲得の手立ての少なさの所使然という思いが湧く.
言論の自由は GHQ 及び連合国批判にならないよう制限されていた.
GHQ による Press Code for Japan =
SCAPIN-33 「日本に与うる新聞遵則」
で指定されている検閲項目から,
極東国際軍事裁判批判
GHQが日本国憲法を起草したことに対する批判
連合国の戦前の政策に対する批判
戦争犯罪人の正当化および擁護
占領軍軍隊に対する批判
解禁されていない報道の公表
….
日本の新聞や放送の大方は, GHQ に言われるままに,今に至っているようだ.
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紙上の虫
2014年12月8日月曜日
大東亜戦争としてしか表現できなかった!
Enya Greatest Hits - Full Video Album
を楽しんだ.Visual Effects 視覚効果が数学的!
百田尚樹 : 海賊とよばれた男 上/下,
2012,講談社 を読んだ.
1894年の日清戦争後,日本は朝鮮と満州に進出するようになった‐東南アジアのフィリッピン,ベトナム,インドネシア,マレーやインドの植民地の状況をみよ.
日本は満州に近代重工業を建設した‐それらは,後日,中国共産党による国家建設に役だった.日本の敗戦の前後,アメリカはアジアが欧米諸国の植民地から独立することを望まなかったし,日本が近代産業のある国家として存立することも望まなかった.
日本の東南アジアへの進出は,フィリッピン(1946年),ベトナム(1954年),インドネシア(1949年),ビルマ(1948年)やインド(1947年)とパキスタン(1947年)の独立を促した. 世界におけるソ連の影響および中華人民共和国の成立や朝鮮戦争は,資本主義と共産主義の対立による東西冷戦に陥った世界で,日本の戦後における自立を速めた-欧米の資本主義にとっての必要やむを得ざることとして.東南アジア諸国やインドの独立も戦後の日本の世界への復帰を促している.この東西冷戦の状況の下で,1952年のサンフランシスコ講和条約が締結されて,日本の独立は回復した.こうしてみると,明治以来の日本の独立の維持や太平洋戦争は,ただ日本のみの意図において引き起こされたというようことではないことが見えてくる.
海賊とよばれた男(出光佐三がモデルとされる)は,このような時代に,独創に溢れた努力と合理的思考に導かれて生きた.
残念ながら,これらの日々,日本は太平洋戦争を大東亜戦争としてしか表現できなかった!
百田尚樹 : 海賊とよばれた男 上/下,
2012,講談社 を読んだ.
1894年の日清戦争後,日本は朝鮮と満州に進出するようになった‐東南アジアのフィリッピン,ベトナム,インドネシア,マレーやインドの植民地の状況をみよ.
日本は満州に近代重工業を建設した‐それらは,後日,中国共産党による国家建設に役だった.日本の敗戦の前後,アメリカはアジアが欧米諸国の植民地から独立することを望まなかったし,日本が近代産業のある国家として存立することも望まなかった.
日本の東南アジアへの進出は,フィリッピン(1946年),ベトナム(1954年),インドネシア(1949年),ビルマ(1948年)やインド(1947年)とパキスタン(1947年)の独立を促した. 世界におけるソ連の影響および中華人民共和国の成立や朝鮮戦争は,資本主義と共産主義の対立による東西冷戦に陥った世界で,日本の戦後における自立を速めた-欧米の資本主義にとっての必要やむを得ざることとして.東南アジア諸国やインドの独立も戦後の日本の世界への復帰を促している.この東西冷戦の状況の下で,1952年のサンフランシスコ講和条約が締結されて,日本の独立は回復した.こうしてみると,明治以来の日本の独立の維持や太平洋戦争は,ただ日本のみの意図において引き起こされたというようことではないことが見えてくる.
海賊とよばれた男(出光佐三がモデルとされる)は,このような時代に,独創に溢れた努力と合理的思考に導かれて生きた.
残念ながら,これらの日々,日本は太平洋戦争を大東亜戦争としてしか表現できなかった!
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2014年10月27日月曜日
Abdullah Ibrahim: Green Kalahari (piano solo)
桜井淳:日本原子力村惨状記,2014,論創社 を読んだ.感嘆した.
第一章 福島第一原発事故 26節 事故調査書は東電資料の批判的要約 の中で
事故調査報告の作成のためには,10年間の時間と原子力機構や大学での実験や解析に最少100億円の予算が必要だろうと述べている‐著者の概算が予算化されることを願う.
桜井淳:日本原子力村惨状記,2014,論創社 を読んだ.感嘆した.
第一章 福島第一原発事故 26節 事故調査書は東電資料の批判的要約 の中で
事故調査報告の作成のためには,10年間の時間と原子力機構や大学での実験や解析に最少100億円の予算が必要だろうと述べている‐著者の概算が予算化されることを願う.
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紙上の虫
2014年10月5日日曜日
Abdullah Ibrahim & Ekaya: The Mountain / Nisa / Mississippi
William Noel & Reviel Netz, 吉田晋治(翻訳)
解読! アルキメデス写本, 光文社, と
泉 流星
僕の妻はエイリアン 「高機能自閉症」との不思議な結婚生活,新潮社
を読んだ.
もしや 私も エイリアン!
William Noel & Reviel Netz, 吉田晋治(翻訳)
解読! アルキメデス写本, 光文社, と
泉 流星
僕の妻はエイリアン 「高機能自閉症」との不思議な結婚生活,新潮社
を読んだ.
もしや 私も エイリアン!
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2014年8月14日木曜日
眼
Abdullah Ibrahim : Ancient Africa
日露戦争時の日本海軍水雷艇長
水野広徳 はどう観たか.
早坂暁 :「戦艦大和」日記 ,勉誠出版
を思い出した-第六巻はいつ出るかな?
S. P. Huntington(鈴木主税訳) : 文明の衝突と21世紀の日本 ,集英社新書
も読む.
日露戦争時の日本海軍水雷艇長
水野広徳 はどう観たか.
早坂暁 :「戦艦大和」日記 ,勉誠出版
を思い出した-第六巻はいつ出るかな?
S. P. Huntington(鈴木主税訳) : 文明の衝突と21世紀の日本 ,集英社新書
も読む.
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2014年6月28日土曜日
2014年5月6日火曜日
戦争放棄条項
Charles A. Beard [開米潤, 阿部直哉, 丸茂恭子訳],ルーズベルトの責任 -日米戦争はなぜ始まったか
(上),藤原書店
を読んで知る.
1928年8月27日に米英独仏伊日など十五ヶ国が署名したパリ不戦条約は「国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し,紛争は平和的手段により解決する」ことを規定していると知る. 戦争拡大を防ぐために締結されたとされているが,欧米列強が自国の植民地を守るために策定した国際法という見方もあるそうだ.
アジアでは,インドとパキスタンが英国から独立(1947年8月15日).
インドネシアは1945年8月17日独立宣言,独立戦争後1950年オランダから独立.
独立戦争を通して,ミャンマー(1948年独立),カンボジア(1953年独立),ベトナム(1949年独立).
1947年(昭和22年)5月3日の日本国憲法施行時のアジアの植民地の状況を知れば,1928年のパリ不戦条約は国際紛争の平和的解決を建前として欧米諸国が植民地確保を意図したものだという見方に賛成だね.
日本が“戦争放棄条項を含む憲法”を受け入れざるを得なかった理由は国際政治が背景にあると考えざるをえないなー.
を読んで知る.
1928年8月27日に米英独仏伊日など十五ヶ国が署名したパリ不戦条約は「国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄し,紛争は平和的手段により解決する」ことを規定していると知る. 戦争拡大を防ぐために締結されたとされているが,欧米列強が自国の植民地を守るために策定した国際法という見方もあるそうだ.
アジアでは,インドとパキスタンが英国から独立(1947年8月15日).
インドネシアは1945年8月17日独立宣言,独立戦争後1950年オランダから独立.
独立戦争を通して,ミャンマー(1948年独立),カンボジア(1953年独立),ベトナム(1949年独立).
1947年(昭和22年)5月3日の日本国憲法施行時のアジアの植民地の状況を知れば,1928年のパリ不戦条約は国際紛争の平和的解決を建前として欧米諸国が植民地確保を意図したものだという見方に賛成だね.
日本が“戦争放棄条項を含む憲法”を受け入れざるを得なかった理由は国際政治が背景にあると考えざるをえないなー.
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紙上の虫
2014年2月27日木曜日
2014年1月14日火曜日
喫茶去
三陸書房の
Today's Saying 365
も刺激的だ.
テイラー・コールドウェル著
別宮貞徳 監訳(三陸書房)
パウロ、神のライオン
を知る.
本文 p.13 に、
『サドカイ派は俗世間に根を下ろして生活し、みずからの五感で証明できるもの以外は受け容れず、ただの物知りを知性と、気の利いたおしゃべりを学識と取り違えている。』
という陰口を見る。 『サドカイ婦人』と謗られた人を思い出す。
Today's Saying 365
も刺激的だ.
テイラー・コールドウェル著
別宮貞徳 監訳(三陸書房)
パウロ、神のライオン
を知る.
本文 p.13 に、
『サドカイ派は俗世間に根を下ろして生活し、みずからの五感で証明できるもの以外は受け容れず、ただの物知りを知性と、気の利いたおしゃべりを学識と取り違えている。』
という陰口を見る。 『サドカイ婦人』と謗られた人を思い出す。
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紙上の虫
2013年12月21日土曜日
濫読の一年を振り返れば、婆娑羅太平記 (黒須紀一郎伝奇小説) や 完訳 源平盛衰記(勉誠出版) も記憶に残る.
那須与一と扇の話などを、文学や国語の教科書などで読んで、“太平記は軍記物”と軍記の意に無頓着に古典文学の一などと思い込んでいた.
太平記は(人の)政治行動の選択という観点から読むべきものなのだと合点した.
浅薄な読み聞きによる誤解を正された-武将達も読んでいたな.
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2013年9月29日日曜日
2013年4月21日日曜日
先週,こんな本も読んだ.
保江 邦夫 : 量子の道草 -方程式のある風景-, 日本評論社
保江 邦夫 : 合気開眼 -ある隠遁者の教え-, 海鳴社
佐川 邦夫 : 魂のかけら -ある物理学者の神秘体験- , 春風社

保江 邦夫 : 量子の道草 -方程式のある風景-, 日本評論社
保江 邦夫 : 合気開眼 -ある隠遁者の教え-, 海鳴社
佐川 邦夫 : 魂のかけら -ある物理学者の神秘体験- , 春風社

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2012年9月27日木曜日
2012年1月29日日曜日
読書の一日
偶々開いたブログ [ http://ryosukal.blogspot.com/ ] で,“素数たちの孤独”に気を奪われる-早速,図書館から借りてきて読んでいる.
素数たちの孤独 : 訳者あとがき
[ http://ryosukal.blogspot.jp/2009/07/blog-post_15.html ]
そういえば,二年ほど前に“ぼくには数字が風景に見える Born on a Blue Day by Daniel Tammet” を読んだ….
しばし “ライ麦畑でつかまえて” を思い出す.
心気一転,インターネットを開いてみれば ウッドフォード元社長にひとこと [ http://facta.co.jp/blog/archives/20120108001054.html ] が見つかる.
今,“素数たちの孤独”を読みながら セーレン キェルケゴール を思い出した;“あれか、これか” とか “死に至る病”などを読んだのだが,忘れてしまっている.
そういえば,二年ほど前に“ぼくには数字が風景に見える Born on a Blue Day by Daniel Tammet” を読んだ….
しばし “ライ麦畑でつかまえて” を思い出す.
心気一転,インターネットを開いてみれば ウッドフォード元社長にひとこと [ http://facta.co.jp/blog/archives/20120108001054.html ] が見つかる.
今,“素数たちの孤独”を読みながら セーレン キェルケゴール を思い出した;“あれか、これか” とか “死に至る病”などを読んだのだが,忘れてしまっている.
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