‘加藤 陽子:それでも、日本人は「戦争」を選んだ,2009,朝日出版社’ を読んだ.
1929年の世界恐慌の以後の大不況と社会不安の収束を求める青年将校らによる‘昭和維新’への渇望については,青年将校らの渇望への対応政策がよくわかっていなかったが,この本を読んで納得する.
政友会の選挙スローガンには農民救済や労働政策の項目がなかった.一方陸軍の統制派による計画書「政治的非常事態勃発に処する対策要綱」に見られる農民救済策には
・義務教育費の国庫負担
・肥糧販売の国営
・農産物価格の維持
・耕作権などの借地権保護
が挙げられ,労働問題については
・労働組合法の制定
・労働争議調停機関の設置
が掲げられていたとある.
‘早坂暁 :「戦艦大和」日記 ,勉誠出版’ で活躍する日露戦争時の日本海軍水雷艇長 水野廣徳 が1929年に「無産階級と国防問題」という文を書いているそうだ.水野廣徳について,
・物資の貧弱と技術の低劣
・国際的通商関係の必要性
の理由から大東亜戦争に否定的で,
・日本領土の孤立性と安全性
・国際的非理不法を避けること
に基づいて国家の安全を考えていたとその明瞭な主張が紹介されている.
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